スタッフ・ベンダ・ビリリ!

    日仏会館で試写会、
    ルノー・バレ&フローランド・ドラテュライ監督『ベンダ・ビリリ! 〜もう一つのキンシャサの奇跡(132)』

    2004年12月、コンゴ民主共和国の首都キンシャサ。深夜の町には沢山のストリートチルドレンがいる。彼らは、かっぱらいやタカリなどて、生きている。人から盗んで生きていくのが、ジャングルの掟だと、一人の少年は言う。
    2005年5月、同じ場所に、自転車やバイクを改造した車椅子に乗った男たちが、集まって来る。リーダーの男はリッキー。パパリッキーと呼ばれる障害者の自分達が生きていくために、バンド、スタッフ・ベンダ・ビリリを作っているのだ。彼らは、幼い頃ポリオに感染して障害者となった。身体障害者シェルターで暮らしている。そこには彼らの家族も暮らしているが、皆路上生活とほとんど変わらない生活だ。キンシャサの子供たちは、子供同士博打をし、その日暮らしだ。そんな子供たちに、音楽で生計を立てる術を教えるリッキー。彼らの歌のテーマは、日常の生活から生まれた力強いメッセージだ。トンカラ(ダンボールのこと)の上で、寝起きする生活を歌った“トンカラ”、自分たちのようなことが起きないように、母親に幼児にポリオのワクチンを飲ませてくれと言う“ポリオ”、ギタリストのココが歌うコンゴの大河プールマレボ(?)の両岸で別れ別れに暮らす妹を歌った歌“マルガリータ
    ある夜、ドキュメンタリー映画のクルーは、空き缶と一本の木と針金で出来た自作の楽器を演奏すことで、生きて行こうとしている13歳の少年ロジェに出会い、リッキーに紹介する。リッキーは、俺が時間を掛けて仕込めば、ロジェが将来優秀なリード・ギタリストになるだろうと言って、メンバーに加えた。彼らのリハーサルは、キンシャサ動物園だ。
     レコーディングが始まった。馴れないスタジオでの演奏は、メンバーを緊張させ、失敗を繰り返す。更に、シェルターが火事になり、リッキーたちは焼け出され、路上生活に逆戻りだ。日々の生活もままならず、レコーディングスタッフは、残りの予算をリッキーに預け、フランスに一時帰国する。ロジェも、故郷の村に帰った。
     1年後、レコード会社からの支援をこぎつけ、キンシャサに戻ると、リッキーたちは、煙草や菓子を売る屋台で生計を立てていた。その年は、ジョセフ・カビラの大統領選挙が行われている。
     再び、メンバーを集め出すリッキー。ロジェを探しに出るが、車でも辿り着けないような場所だ。しかし、成長したロジェが、小舟に乗ってリッキーの前に現れた。

レコーディングは再開された。今回は、いつもリハーサルをするキンシャサ動物園でスタートした。
夜、蚊の大群に悩まされながらも、素晴らしい演奏が録れた。一年のブランクを感じさせない集中力で、彼らの1stアルバム「屈強のコンゴ魂」が完成した。
アルバム完成記念コンサートが、キンシャサのフランス系会場で開かれ、大成功を治め、800ドルのギャラも入った。リッキーは、メンバーにギャラを分配する。ロジェには、主要メンバーと同じ80ドルを渡し、入院中の母親の治療費を払って退院させてやれと言う。次は、いよいよ、海外ツアーだ。2009年7 月、フランスで行われたユーロックフェスだ。パスポートも、飛行機も、勿論海外も初めての経験だ。口々に自分たちの音楽への自信を語りながらも、緊張した表情のベンダ・ビリリのメンバー。
   コンサートは素晴らしいものだった。


リッキー、ロジェ、ココ
「屈強のコンゴ魂」
2010年7月、ユーロック
トンカラ(段ボール)の上から世界へ。
友よ忘れるな。昨日は道で食べ、今日は皿で食べる。今日は皿で食べ、明日は道で食べる。

喜劇と悲劇。

     久しぶりに午前中から行動。暑い。昨夜の暴飲に、腹も冴えず、水やらビタミンウォーター飲みながら、旗の台で、打合せ。心配していた通りの状況。大丈夫なのか?昼、旗の台で蕎麦と蕎麦湯で、少し腹も落ち着いたので、渋谷で下車。

    ヒューマントラストシネマ渋谷で、
    ルーベン・フライシャー監督『ゾンビランド(130)』
    ホワイトハウスから煙が上がっている。見るとカメラは上下逆だ。ゾンビが襲って来る。ホワイトハウス前の通りには、何台もの横転し、乗り捨てられた車が転がっている。数ヶ月前、新型の牛ウイルスが、ハンバーガーを食べた者たちにパンデミックを起こし、感染者はゾンビになり、次々に人を襲い、今ではゾンビだらけになった。ここは、ゾンビランド合衆国だ。
   ゾンビ達から逃れる方法のルールNo.1は、有酸素運動だ。逃げ足の速さが肝心だ。だから、まずゾンビの犠牲になったのは、のろまなデブたちだった。
   更に、ゾンビを退治するために、射撃をしても、二度撃ちをしないと、襲ってくる。これがルールNo.2。更に、どんな時でも気を抜いてはいけない。人間が一番油断する場所、それはトイレだ。ルールNo.3はトイレにご用心だ。
   この30を超えるルールを作ったテキサス州ガーランドの大学生(ジェシー・アイゼンバーグ)は、引き籠りの臆病者だった。彼は、自室でPCに向かっていたので、ゾンビに出会わずに済んでいたのだ。当然、童貞でキスをしたことも、ガールフレンドの髪をかきあげた経験もない。
   ある日、彼は、部屋のドアを激しく叩き助けを求める女学生の声を聞く。彼女は406号室の女(アンバー・ハード)だった。セクシーで美人の彼女を部屋に入れ話を聞くと、街を歩いていたら、浮浪者が襲ってきたのだと言う。更に咬み付こうとしたので、必死に逃げて来たのだと言う。飲み物(何だったか忘れてしまったが・・・微妙な味のヤツ)を出し、疲れたので眠らせてという406号室の女に寄りかかられ、彼女をオハイオ州コロンバスの両親に紹介してもいいなと思いながら、自分も眠ってしまうと、数時間後、彼女がゾンビになって唸っているのに気がついて目が覚める。部屋の中を逃げ回り、ドアに足を挿んで骨を折っても、平気で追いかけてくる女。トイレの貯水タンクの蓋で、二度、女の頭を殴り、やっと逃れることが出来た。
   やっと、両親を訪ねて、安否を確かめようと外に出る。車が動かなくなって困った時に、3と手書きの数字が書かれた重装備の車がやって来る。果たして、運転しているのは味方なのか。車が停まり、ショットガンを抱えた、マッチョなテンガロンハット男(ウディ・ハレルソン)が降りてくる。ライフルを構えた主人公と暫く向かい合っていたが、取り敢えず、親指を立て、ヒッチハイクさせてもらうことにする。車に乗せて貰ったものの、フロリダ州タラハシーに行くと言う男に、同じ東に行くのだから途中まで乗せてくれと言うが、どうも馬が合わないと言う男。結局名前は名乗らず、お互いの目的地、コロンバスとタラハシーと呼び合うことになった。
  タラハシーは、ゾンビハンターとしては優秀だった。しかし、何故か安物のスポンジケーキ、トゥインキーズを探して旅をしているのだ。
  笑った。笑った。
   
  シアターN渋谷で、

  74年ジャパン・ムービー・ピクチュアー村山三男監督『樺太1945年夏 氷雪の門(131)』

   日本最北の稚内の、樺太を望める稚内公園の北端に、氷雪の門というモニュメントがある。樺太で亡くなった全ての人々の慰霊塔である。その隣に、真岡郵便局電話交換師の乙女9人の悲劇を後世に伝える碑が建てられている。

   正に65年前のこの数日を描いた作品。日本映画冬の時代に、こんな映画あったんだな。

   夜、若手クリエーターが集まる飲み会に誘われていたが、都合出来、キャンセル。52歳の肉体には、連日の飲酒はきつかったので、助かったともいえるか・・・。

52歳。

神保町シアターで観たい映画あったものの、午前中からの酷暑で断念。結局、夕方、浴衣、雪駄、麦わら帽子のバカボン姿で、外苑前の粥屋喜々に。私の52回目の誕生日を祝う会。お盆枯れの喜々の売上に貢献したかったが、あまり反応無く、朝のやじうまワイド、目覚ましの占いもかなり低調で、凹んでいたが、8人位かなと思っていたら、倍以上来てくれて、ご機嫌にベロンベロンに…。楽しいなあ。皆さん、本当にありがとうございます。

昼夜逆転。

  酷暑鬱を気取って、デパス飲んだら20時間眠り、それから完全に昼夜逆転して二日目。午前中、闘病中の友人のツイット気になるが、何だか普通に返信すればいいのか、DMにした方がいいのかなどと思っているうちに、眠ってしまうし。夕飯を25歳美人画家と、地元ささら亭で食べて、かなり幸福感が高まったが、帰宅して本を読んでいると、全く眠れなくなってしまう。困った。17日には、52歳になるのになあ。

夢か現か?

    昨日の地元飲み、調子に乗ってベロンベロンになった上、締めに麺まで食ってしまい、午前中はダウン。

     ゆっくり風呂に浸かり、渋谷に。美大生とHMVで待ち合わせて、

     渋谷ヒューマックスシアターで、
     クリストファー・ノーラン監督『インセプション(129)』

    海岸に打ち寄せられた男(レオナルド・ディカプリオ)。武装した日本人(ちょっと日本語は怪しい)が「不審な男を見つけました」男の上着を剥ぐと、ピストルが隠されている。

   夢だから、夢の世界のアクションは、思い切り遊んでいる。360°回転式ホテルセットと、007張りの雪山アクション。幾つかの映画のリスペクトネタ含め深読み出来る部分もあるが、びっくり映像の連続で楽しめるからいいんじゃないかというシンプルさ。「恋しさと せつなさと 心強さと」by t.komuro みたいな映画。けっこう楽しんだけど・・・。

   沖縄料理屋、彼女は飲まないので、一人オリオン生&泡盛で、出来上がって帰宅・・・。

耳が痛い。

   退職した大手全国紙元新聞記者にありがちなこと

  6.「新聞社を退職した・見限った自分」を語りだすと長い、
 話の合間にそういう内容をうっかり振ると、組織の問題点から上司の欠点からあれこれずっと喋る。あまり出身母体を褒めることはない。世話になってたはずだがなあ。
とか(苦笑)。

  あまりに身につまされて、大笑いしてしまった。

  そろそろ脱皮しなければ。

  今週末は、部屋の大片付けでもして、そろそろ引き籠りを脱しよう。

シネマヴェーラでかかっていた昇り竜の歌、よかったなあ。

    午前中は、赤坂のメンタルクリニック。 


   シネマヴェーラ渋谷で、石井輝男 怒涛の30本勝負!!
      
     64年東映東京石井輝男監督『いれずみ突撃隊(127)』
      
     馬に乗った日本兵(高倉健)が、中国の原野を一人やってくる。「歩兵衆木(もろき)武男一等兵、南支派遣軍杉野三中隊機関銃小隊に転属してまいりました。」阿川准尉(安部徹)山本軍曹(大東良)に報告している。衆木は、山本小隊への配属を命じられた。
     その頃、山本小隊の兵舎では、加賀上等兵(山本麟一)ら古参兵(蓑和田良太、関山耕司、久保一、日尾孝司、潮健児)による初年兵たちの虐めが行われていた。宮田二等兵(津川雅彦)は、盥を笠替わりに仁義を切らされている。仁義の切り方が悪いと、竹刀で打ち据えられている宮田を庇って立つ衆木。「テメエ、何だ?!」星の数を見て、「1等兵じぇねえか?逆らうのか」殴りかかる古参兵たち。衆木の軍服が破け、肩の刺青が見える。
   衆木は一歩下がり「ご丁寧なご挨拶。ありがとござんす。どちらさんも、お控えなすって。お控え下さって、ありがとうござんす。手前、生国は関東でござんす。関東、関東といってもいささか広うござんす。関東は、華のお江戸、今では大東京でござんす。大東京、大東京といってもいささか広うござんす。隅田川のほとり浅草でござんす。浅草は柴崎3丁目に・・・(中略)姓は、衆木、名は武男。駆け出し者でござんす。一銭五厘赤紙で、日露の戦いでその名も高い麻布三連隊第一中隊に召集されやした。そして転属に転属を重ね、ここ南支派遣軍杉野三中隊山本小隊に参りました。以後お見知りおきの程宜しくお頼もうします」見事な啖呵と刺青で、兵舎内は静まり返ったが、上官侮辱で、営倉3日の処分となった。
   阿川准尉と山本軍曹が、安川中尉(杉浦直樹)の前で、衆木の処分について報告している。「示しがつかないので、軍法会議に掛けろ」と息巻く阿川に、「それでいいじゃないか。彼も営倉で反省するところがあるだろう」「しかし、このような兵隊は軍法会議にかけまして」「兵隊を罪に落とすことよりも、そういう兵隊が出ないように教育することがお前たちの務めだ。私的制裁はやめろ」「それは伝統でありまして」「悪い習慣や伝統は改めたほうがいい」とやり取りする安川。
   衆木の営倉を訪ねる安川。「何でえ、星の数は一緒じゃねえか!金筋の数が多いだけじゃねえか」と取り合わない衆木に、「じゃあ、勝負するか」泥まみれで、殴り合う二人。安川は強い。「おめえ、なかなかやるじゃねえか。将校にしておくのは、もったいねえよ・・・。娑婆に出たら、俺と兄弟の盃交わさねえか・・・。いや、五分の兄弟分でいい。」笑う安川「おまえ、浅草なんだってな。どこの組だ」「いや組には入ってねえ。俺は親分なし、子分なし一匹狼よ。」「浅草は、武蔵一家のシマじゃないか」「詳しいな。そうよあの武蔵一家の出入りの時に、親分に頭を下げられて、手助けしたのよ」「あの時、親分は中風で寝たきりだったんじゃねえのか」「そうだった・・・。実子に頭下げられて」「そうか、実子に。しかし会ったことはねえな」「えっ?」「関東武蔵一家の実子、三代目の安川とは俺のことだ」「えっ?兄貴!!兄貴!!」「おめえ、浅草のシマはどこだ?」「六区で・・・」「六区の?木馬館の脇で・・」「木馬館の脇で、何を捌いていたんだ」「とうもろこしに・・・。夏は氷水・・・。」「なあ、衆木。この軍隊にも改革せにゃならんことはいっぱいある。しかし急にはできんのだ。なんせ今は非常時だ。日頃、カタギの皆さんにご迷惑をかけてる俺たちだ。力いっぱい頑張ろうじゃないか」「へえ!兄貴!!いや、中尉!!」「お前、立派な絵が入っているんだってな。今度の相撲大会で見せてくれよ」泥だらけで土下座しながら、安川との出会いに感激している衆木。
  部隊対抗相撲大会。衆木が、おでんの屋台にいると、慰安婦のみどり(朝丘雪路)とみつ子(殿岡ハツエ)が声を掛けてくる。「あんたってえ、浅草なんだってえ?」三河弁のきついみつ子が「みどり姉さんも、浅草の出身なんだあ」安川が転属してしまい、拗ねている衆木は、けんもほろろだ。みどりは気分を害す。「あんだあ、みどり姉さんは、この慰安所のNO.1だのに、もったいないなあ」相撲大会の賞品の前で踏ん反り返っている阿川准尉が、みどりの姿を認め、しきりと目線を送るが、みどりはつれない。
  相撲大会では、初年兵は次々に土俵に叩き付けられていた。宮田も顔から投げられた。行司役の兵士が「もう一人で10人抜きだ!!もういないか?」そこに、衆木が軍服姿でやって来る。次々に古参兵を投げる衆木。気がつくと皆転がっていた。

押元上等兵(砂塚秀夫)石渡上等兵(大前均)今井一等兵(春風亭柳朝)茂木初年兵(小川守)杉野中隊長(植田貞光)岩山分哨長(高城裕二)


     68年東映京都石井輝男監督『温泉あんま芸者(128)』
     珍妙でいい加減な主題歌・・・♪バラバラバラバラ、やあ!・・・・
富丸(三原葉子)「さあ!みんな張り切って稼ぎましょう!!」
  ♪バンバラバンバン、バンバラバン
   個室で身体を揉んでもらいながら、ムラムラして、マッサージ嬢に迫る男たち(清水正二郎田中小実昌、大泉洸・・・)
   ここ石川県粟津温泉の旅館、鶴亀荘に、芸者姿の、富丸、蔦子(賀川雪絵)梅子(應蘭芳)雛奴(三島ゆり子)千代(橘ますみ)玉栄(英美枝)すみ(小島恵子)らがやってきた。芸者の金太郎(南風夕子)とんぼ(辰巳典子)君蝶(三乃瀬愛)歌江(渚マリ)桃子(工藤奈美)と同じお座敷だ。富丸たちは、お座敷では芸者の格好をしているが、客室でマッサージもすれば、身体も売る、あんま芸者、いわゆる“パンマ”だ。お座敷で芸を見せる芸者たちと、寝床で芸を売るあんま芸者たちは勿論仲が悪く、いがみ合ってばかりいる。しかし、大広間に一杯の男客たちは、そんなものはどうでもいい。舞を見せる金太郎の邪魔をして、富丸たちがゴーゴーを踊り始めると、やんやの喝采だ。金太郎を妾にしている野毛親分(上田吉二郎)が「野球拳をやれ!!」と叫ぶと、温泉芸者対あんま芸者の壮絶な野球拳が始まった。
   汚物処理業者の黒島(芦屋雁之助)の部屋で、富丸が黒島のマッサージをしている。もっと力を入れろと黒島が言うと、富丸はオナラをしてしまう。露骨に嫌な顔をする黒島に「あたし、緊張すると出てしまうんよ。これで嫁にもいけなくなったのよ」と弁解する富丸。宿の番頭が、「あいにく、その日は宴会が重なっていまして」と言いに来る。「どうしても、何とかして貰わんと困るんだ」と黒島。
   宴会、市の清掃部の品川部長(金子信雄)、保健課長(人見きよし)衛生課長(茶川一郎)係長(小島慶四郎) を接待する黒島。黒島は、バキュームカー1と1/3台につき5円の値上げを、品川に認めさせたいのだ。宴会に富丸たちあんま芸者たちが入って来る。鼻の下を伸ばして喜ぶ小役人たち。玉栄の太股には蟹の鋏の刺青がある。蔦子は何度も再生した処女膜が売り物だ。品川は、千代に目を付け、黒島は番頭に交渉するが、千代は頑なに貞操を守っていて駄目だと言われる。黒島は、何とか富丸を相手にさせることを納得させるが、緊張した富丸は、やはりオナラをしてしまい、翌朝、あの女は、お前の仕事と一緒だなと嫌みを言う品川。
  粟津共済診療所の、産婦人科の椅子に蔦子が座っている。医師の吉岡伸二(吉田輝男) は、保険は効かないぞと言って、処女膜の再生手術をしぶしぶ行う。蔦子が終わると、千代が椅子に座る。「蔦ちゃんは診れて、何で私を診てくれないの?」と足を開く千代に「見なくても分かっているよ」と吉岡。「先生!!あたしの初めての人になって!!水揚げをして!!タダだっていいのよ!!」涙を溜めて必死に訴える千代は、吉岡に相手にされず、診療所を飛びだし、橋の上で泣いている。
  品川や黒島たちが、船で帰って行くのを送るあんま芸者たち。千代は、二人にお土産を渡す。着いた連絡船から降りて来た中年男を見て、駆け寄る富丸。男は恩師の横谷(南都雄二)だった。「富田くん!!」「先生!!ちょっと、桟橋で待っていて!!」横谷は、妻とも上手く行かなくなり、仕事でも失敗して逃げ出して来たと言う。この温泉で下足番でも何でもやって静かに生きて行くんだと言う横谷を励ます富丸。

横谷の妻(稲村理恵)横谷の娘(美波節子)浜中の女将お徳(沢淑子)武(南道郎)雪子(高倉みゆき)花紀京里井蕗
武者小路実篤の「この道より 我を生かす道なし この道を歩く」