映画三昧

   シネマヴェーラ渋谷で、神代辰巳レトロスペクティブ
   73年日活神代辰巳監督『恋人たちは濡れた(349)』
   千葉県勝浦のはずれにある港町、ひとりの男(大江徹)が自転車を漕いでいる。荷台には映画のフィルム缶が積んである。黒スーツ姿の男を避けようとして、フィルム缶は転がり落ちた。転がったフィルムを巻く男。映画館に着き、映写技師に遅かったじゃねえか、間に合わねえかと思ったと怒られる。フィルムを拭く男。代わりのフィルムを積んで自転車で戻る途中。ダンプを運転している男(清水国雄)に中川の克じゃねえかと声を掛けられる。否定しても、三浦と名乗る運転手は、いや、この街を五年前に出て東京に行った克だろう。何か事情があるにしても、いつも連んでいた親友で、麻雀仲間だった俺には本当のことを言ってくれと言われる。
    映画館に戻る。この幸楽館で働き始めたのだ。料金窓口にいる社長の妻のよしえ(絵沢萌子)は一緒に館内の掃除をしながら、あなたは何者なの?警察に追われていたりする過激派の学生?と尋ねる。そんなインテリじゃないですよ。詮索されるのは好きではないと答えるが、私は雇い主だから、身元の怪しい人は不安なのと言う。社長の帰りは遅いですねと男が言うと、使用人のくせに生意気ねとよしえが言う。
   翌朝、映画館の舞台で男が、三波春男でございますと挨拶し、世界の国からこんにちわを歌い出す。よしえは、あんたは役者だったの?と聞くが、否定する男。今日もフィルム缶を隣町の映画館まで運ばなければならないが、雨が降っている。雨の中、ビニール合羽と傘で自転車を漕ぐ。ついついない、更にパンクだ。自転車を押していると、社長の庄三(高橋明)が車で現れ、何やっているんだ。フィルムは俺が車で運ぶから、お前は自転車のパンクを直して帰ろと言う。自転車を屋根に積んで、自分も車に乗せてくれと頼むが、さっさと走り去る社長。今日も三浦が声を掛けてくる。何度否定しても執拗に俺だけには本当のことを言ってくれと迫る三浦。結局殴り合いななり、雨の中、道路に延びる男。
    ずぶ濡れ、泥だらけで幸楽館に戻ると社長がパンク直しておけよと言う。直しましたと答えると、社長は今日もどこかに出掛けてしまう。どうやら愛人がいるらしい。よしえは、泥だらけの男を見て驚き、着替えを持ってきてくれた。その夜も、社長は帰宅しない。妻が相談があると言って、港に碇泊中の船に連れて行く。辞めないで、ずっとここにいて欲しいと言い、キスをしてくれと迫って来る。抱き合う二人。よしえの声が大きく夜の海に響く。
    翌日、男か海岸を散歩していると、全裸で抱き合っているカップルがいる。近づいて、見続ける男。カップルの光夫(堀弘一)洋子(中川梨絵)は、終わってから男に蹴りを入れる。這いつくばって歩いていると、二人は車を止め、乗せてやると言う。そんなに女が欲しいのなら、紹介してやるという光夫。幸子(薊千露)というその女も、男を中川の克でしょうと言う。腹が立った男は、無理矢理幸子を強姦する。しかし、抵抗する幸子に果たせなかった。

    72年日活神代辰巳監督『濡れた唇(350)
    金男(谷本一)は、田舎から出て来て働いている材木工場の社長の娘幸子(嵯峨雅子→山科ゆり)と交際中だが、身持ちの堅い幸子は、最後まで許してくれない。どうも辛抱出来ない金男は、デートクラブのチラシに電話してみる。クラブの男は入会金が千円、二時間のデート代が千五百円だと言う。女は洋子(絵沢萌子)と言い、喫茶店で話しをして、金男が直ぐにホテルに行こうと言うと、そんなに安い女じゃないと言って焦らした挙げ句、トイレに行くと言ってトンズラする。喫茶店の店員の男が、あの子は気に入らない客だと逃げると言うので、初めて自分が騙されたことに気がつく。金男が歩いていると、ラーメン屋で悠々と食事をしている洋子の姿が。怒って中に入ると、お腹がすいたが、客に奢らせるのは嫌いなので、食事をして戻るつもりだったと言う洋子。二度と騙されまいと頑なな表情の金男に、二時間延長料払ってくれれば、ホテルに一緒に行ってもいいと言う。喜びいさんでホテルに行く金男だが、初体験の悲しさ。あっという間に終わってしまう。洋子は、子供の頃、家で飼っていた鶏は、雄鶏が雌鶏に乗っかるが、一瞬で終わり、その後は雄鶏も雌鶏も何事も無かったかのような素振りなのが、子ども心にもおかしかったと言う話をする。傷ついた金男。
     しかし、金男は翌日も洋子を指名する。二回目は入会金はいらないが、指名料がかかるので、結局二千五百円取られる。金男は、愛しているんだと、恋人気取りで、洋子に馬鹿にされる。

    シネマート六本木で、
    ピーター・チャン監督『ウォーロードー男たちの誓いー(351)』
    兵士たちの死体で埋め尽くされた戦場。文字通りの死屍累々、死体の中から立ち上がる男の姿がある。清軍の将軍パン・チンユン(ジェット・りー)だ。19世紀末清朝末期、太平天国との戦いで、後詰めのホー・クイ将軍(シー・チャオチー)率いる魁軍が兵を止めると言う裏切りに合い、山軍の部下1600名は全滅し、一人奇跡的に生き残ったのだ。パンは、よろよろと歩き続けたが、一人の女の前で倒れ気を失う。気がつくと、女はパンを廃屋に寝かせ、看病していた。粥を与え、パンの横に添い寝をする女。翌朝パンが目を覚ますと、女の姿は無かった。
    近くの村まで歩き、刀と甲冑を売り、僅かな銭に替え、どこかで食べ物はないかと尋ねると、裏の空き地で待っていればいいと言う。そこに、盗賊のチェン・ウーヤン(金城武)が仲間と現れ、辺りの人々に食料を配り始めた。チェンは、パンの足元を見て、履いている靴が、清軍の将校のものだと気がつき、刀を向けてきた。難なく受け流すパンの武術に感心したチェンは、兄貴に紹介するので、一緒に来いと言う。
    チェンとパンたちが村に戻ると、偶然にもチェンの兄貴分で盗賊の首領のツァオ・アルフ(アンディ・ラウ)が帰って来た所だった。パンは昨晩介抱してくれた女を村人たちの中に見つける。女もパンに気がついたようだったが、何故か頭に被っていたスカーフで顔を隠した。女は、アルフの妻だったのだ。アルフは旅の間に、死んだ仲間に食事と酒を用意し、追悼の気持ちを表した。

チェン大臣(ウェイ・ツォンワン)その部下ルー(チョウ・ポー)、ディー大臣(ワン・フィワン)、ジアン大臣(クゥ・パオミン)その部下ホー・クイ将軍(シー・チャオチー)。太平軍蘇州城主ホアン(グオ・シャンドン)投名状1870両江提督、シーは去った。

   木村祐一監督『ニセ札(352)』

   三池崇史監督『クローズZEROⅡ(353)』